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年表・事典類

年表・事典類

自由法曹団 百年史年表

自由法曹団 百年史年表

販売価格1,980円(税込)
2021年9月刊行

ISBN:978-4-86369-658-7
A5判・上製・178頁
自由法曹団創立100年記念出版委員会(編集)荒井新二(著/文 | 編集)


【紹介】
激動の近代日本! 弁護士団体100年の記録“全データ”
戦前から戦後、日本の社会運動を裏で支えた不屈の弁護士たちの詳細な記録

【目次】
第Ⅰ期  1921-1933
 戦前―暴力と圧制に曝される人民の闘い
  1921.足尾銅山争議終結。神戸人権蹂躙事件
  1923.大震災と朝鮮人虐殺事件、亀戸事件……

第Ⅱ期  1945-1972
 大衆的裁判闘争の創造から確立へ
  1947.生産管理闘争 1949.松川事件 1952.メーデー事件 1958.勤評闘争
  1968.八海事件無罪 1971.富山イタイイタイ病・新潟水俣病勝訴……

第Ⅲ期  1973-1994
 悪法と司法反動の嵐に抗して
  1969.平賀書簡(至急親展) 1986.国鉄分割・民営化反対運動
  1985.男女雇用均等法成立 1987.朝日新聞社阪神支局襲撃事件調査・集会
  1992.PKO協力法案可決……

第Ⅳ期  1995-現在
 生活と民主主義の広範な闘い
  1995.銀行員過労死事件労災認定判決 2004.イラク自衛隊派兵反対デモ
  2015.安保法制反対国会包囲 2020.広島「黒い雨」訴訟勝訴……


【前書きなど】
はじめに

 私たち団員は、愛着と自負の念をもって自由法曹団のことを「団」と呼ぶ。その団が2021年8月に創立100年を迎える。現役の弁護士で構成される法律家団体の団は今や全国で2000名を超える大所帯となっている。創立時の7、80名からスタートし、この100年で団参加の弁護士は、物故団員を含めると全体でおそらく3000名に達するはずである。
 団員は、現規約の「人民の権利とじゆうを擁護し」あらゆる暴圧、加害を許さない社会を作り上げる目的で「人民と共に活動する」。団に結集した3000名の団員は、この100年の間、弾圧と差別と貧困と対峙し、虐げられた人民のためにもてる力を存分に発揮してきた。時代を通して一貫性をもって活動し続けた団員の活動の総量を振り返るならば、その壮大さは誰もが認めるものではないだろうか。団という呼称は、そういう歴史を持つ団のなかに在るという自覚、責任といった感覚を私達団員に呼び起こすのである。
        ◇        ◇        ◇
 団のこの100年の歴史は、大きく言って4つの時代に分けられる。
 第1期は、1921年の創立から1933年の団員一斉検挙で団活動が圧伏させられた戦前である。大正デモクラシーの余燼が軍国主義の台頭で踏みにじられ、基本的自由がないことはおろか、無権利状態に呻吟する人民の苦難を前にして、個々の団員は誠実な活動をひるむことなく進めてきた。時の軍国主義的天皇制国家によって、誕生から僅か10年余で団活動は停止を余儀なくされた。「揺籃期」とは裏腹の、暗い時代であった。
 第2期は、敗戦後のいち早い団の再建から占領軍、政府との熾烈な闘争を続け、松川事件の貴重な経験を通じて「大衆的裁判闘争」を創造し、労働事件・公害闘争等の諸分野に押し広げていった時代である。占領軍のみならず日本政府は、大衆運動の弾圧と人民に対する収奪に狂奔し、高揚する戦後民主主義の前に立ち塞がった。三池闘争や安保闘争にその典型を見る人民の統一的な連帯運動が各分野の裁判でも進み、困難を引きずりながらも多くの成果をあげた。72年のメーデー・辰野・仁保の3事件の無罪判決をもって、大衆的裁判闘争が実践的にも理論的にも確立した画期を成した。
 第3期は、73年頃から大きく前景化した司法反動の嵐のもと、裁判内容の統制を含めて治安体制の再編強化が図られた時代である。団員は憲法に基づく民主主義擁護闘争の一環として裁判闘争を苛烈に、しかも広範囲に展開していった。それまでの弾圧・労働・公害に加えて差別問題をはじめとした基地・リストラ・労災・都市・薬害・環境・社会保障・情報公開・戦後補償……等。また団は総力をあげて折からの労働戦線の分裂と攻撃に反撃し、悪法ラッシュといわれた一連の治安立法の策定を阻止するため、悪法反対運動を果敢に進めた。真摯な活動を通じ地域の信頼を得て定着した全国の団員の力量に大きく依拠しながら所期の成果をおさめた。
 第4期の始まりは、95年の阪神淡路大震災である。90年代当初のバブル破綻とその後の経済減速のもと、人民の生活は新自由主義の進行で大きく震撼させられ、格差と貧困はますます拡大してきた。2011年の東日本大震災と福島原発事故、2020年のコロナウイルス感染症などの災厄が断続的に起きるなか、悪化する政治経済システムの歪みが、「人民の権利と自由」をさらに形骸化している。政府は湾岸戦争を機に憲法9条の改悪を本格的に駆動させ、沖縄問題と安保法制を通して平和への挑戦者としての動きを露骨に強めている。この時代、団の闘いは憲法改悪の諸策動を抑えつつ、国民各層に深刻化する「命と生活」「平等と自由」の危機を克服し、憲法を生かした諸裁判闘争に深くコミットして今日に至った、と言える。
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